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住めば都、狭小住宅という贅沢

東京は江戸時代から超過密




19世紀、江戸深川の長屋。わずか6畳の部屋にひな壇を飾り、衣食住の全てをまかなっていました。出入り口には小さな土間があり、かまどや流しがあります。部屋の裏手には狭い庭に物干しがありました。深川江戸資料館の展示から
そもそも住宅とは何でしょう?玄関があって、廊下があり、部屋があり、バス・トイレ・キッチンなどの機能があり、ベッドや、ソファ、クローゼットなどの家具がある。と考えていくと、どんどん間取りは広くなってしまいます。 東京などの大都市が過密化したのは、昭和に入ってからではなく、すでに江戸時代には超過密都市でした。江戸の町は大名屋敷に広大な面積をとり、庶民はわずかな土地に密集して暮らしていました。それが長屋です。 深川江戸資料館では長屋を再現した展示を行っています。それを見ると大半の庶民は、6畳間+小さな土間+小さな庭(物干し場)で、家族4人(親+子供2人)で暮らしていたことが分かります。今では信じられないですね。

プラグイン住宅という発想


シャワー

松下電工のシャワーブースアキューブは、わずか0.38坪の中で、オーバーヘッドシャワーも楽しめる。シャワー好きならこれで充分? こうした暮らしを可能にしたのは、大都市の機能でした。江戸にはすでに水道が整備され(井戸から汲む方式)、共同トイレ(排泄物は農家が買上げる)や湯屋(銭湯)などもあったといわれています。またテンプラや蕎麦の屋台、食べ物を売り歩く行商も多く、外食で済ます独身男性も多かったようです。 意外と現代人に近い江戸の生活スタイル。ポイントは「公共施設の共有」といえるのではないでしょうか。例えばリビングという空間が必要かを考えると、リビングの元々の役割は来客をもてなすことで、個人のくつろぎの中心は寝室にありました。 リビングを無くしてと考えれば、狭小住宅でも、とても豪華な寝室ができます。最新のは、デラックスなソファとしても機能します。ベッドの前にリビングボードを置いて、仕事の後のひとときをゆったりと過ごせるのです。

キッチンは必要か?

日本の住宅の中で、最も大きく変化したのはキッチンともいえます。長屋のキッチンは小さな土間にかまどがあるだけでした。やがて流し台が生まれ、システムキッチンへと進化していきました。でも間口の広いキッチンは本当に必要でしょうか。 キッチンの調理効率をもっとも左右するのは調理や配膳スペースです。従来のミニキッチンはどうしてもこのスペースが小さくなり、ミニ=使いづらいかったのです。しかし、調理・配膳スペースをダイニングテーブルと兼用したらどうでしょうか。ダイニングテーブルをアイランドキッチン代りに使うことで、コンパクトでも使いやすいキッチンが実現します。またビルトイン型の食器洗い乾燥機を使うことで、大きなシンクも不要になります。 次にサニタリーやバスルームです。各家庭にバスルームが備わったのはごく最近のことで、庶民は銭湯に通うのが一般でした。いまは銭湯は減りましたが、都会にはリラックスできるスポーツクラブやスパ施設が増えています。 こうした施設が近くにあれば、自宅にはシャワーブースだけで充分かもしれません。システム型のシャワーブースであれば、わずか0.38坪の面積で済みます。

天井は思いっきり高く。採光は上から


階段

狭小住宅を成功させるポイントのひとつは、階段部分を採光に利用すること。写真の階段はわずか1坪に設置できるUターン式の階段。カツデンアーキテック 狭小住宅を込み入った住宅地に建てる場合に問題になるのが採光です。隣家とのあきに隙間がなく、採光がとれない場合が大半です。こうしたケースには、天窓の使い方がポイントになります。 2階建て、3階建て住宅での採光のポイントは階段です。螺旋階段を中心として、最上部に天窓を設けると、階段が光のダクトになります。階段の踏み板をグレーチング(格子状の板)や強化ガラスにすることで、その効果は倍増します。 例えば、同じ6畳間でも天井の高さによって空間の感じ方は大きく変わります。天井の高さを自由に設定できるのは、一戸建て住宅ならではの贅沢です。寝室を天高6メートルの吹抜け空間にしたり、わがままを楽しみたいものです。

コンパクトラグジュアリーな家という考え方

コンパクトな家だからこそ、コンパクトラグジュアリーな家を目指しましょう。狭い家=ローコストではありません。狭い家は、設備に掛かるコストの割合が増えるので、面積あたりの坪単価は広い家に比べ必ず高くなります。 坪単価という考え方はやめて、全体の豊かさにどれだけのコストを投資できるかを考えることが必要です。例えば3畳ほどしかない小さな茶室で何時間も快適に過ごせるのは、内装材に工夫を凝らしているからです。自然材料をふんだんに使った室内は、それ自体が上質な家具のように身体を包み込んでくれます。 狭いからこそ、材料の量が少なく済み、上質な材料を使えるともいえます。また設計する際も、大きな家に比べ隅々までをきちんと検討できます。しかたなく小さな家と考えないで、積極的に「上質な狭い家」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

デザイナーズ狭小住宅


ムナーリ

ブルーノ・ムナーリのアピタ・コロ。ワイヤーフレームはテーブルだけでなく、ベッドにもなる。Shiodome italiaクリエイティブセンターで開催されたブルーノ・ムナーリ展会場。 イタリアのデザイナー、ブルーノ・ムナーリによる「アピタ・コロ」(ちいさなへや)は、ワイヤーフレームで組んだユニークな家具です。昼は作業テーブルとして、夜はベッドとしても機能します。まさに狭小生活をコンパクトに納めた家具です。こうしたシンプルで機能的なアイデアがこれからの住宅には活かされていくでしょう。 ちなみに、日本人が開発した世界でもっとも効率的な宿泊施設「カプセルホテル」は、都知事選でも話題を呼んだ建築家の故・黒川紀章氏のデザインです。その背景には、黒川氏や菊竹清訓氏が提唱してきた「メタボリズム建築」があります。銀座の「中銀カプセルタワービル」は、まさに狭小住宅をジョイントした集合住宅といえます。興味のある方はぜひご覧ください。

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