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実例に学ぶ、二世帯プランニングのコツ

文章:山口 由紀(「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)

今回は、実例を元に、プランニングのコツや、二世帯住宅ならではの配慮をご紹介したいと思います。


玄関共用の分離度の高い二世帯住宅。快適な生活の鍵は...
ご紹介するのは、親世帯の住まいを建て替えた、玄関共用の分離度の高い二世帯住宅。家族構成は、すでに定年された親世帯ご夫婦と、共働きの子世帯ご夫婦とお子様2人。以前も、子世帯は徒歩5分程度の距離に住んでいたのですが、二世帯住宅になり、より快適になったとのこと。プランには、その理由がたくさん見受けられます。では、具体的に見ていきましょう。

見事なゾーニングが、快適さの秘訣


共働きで夜が遅い子世帯と、定年後の親世帯では、生活時間帯がまったく違うので、間取りは完全分離で計画。しかし、スペースの節約も考え、玄関は共用としました。1階が親世帯、2・3階は子世帯の3階建です。このプランは【共用ゾーン→パブリックゾーン→プライベートゾーン】の順に連続するゾーニングが、非常に優れたプランです。ではまず、1階・親世帯のプランをご覧下さい。
1階平面図・旭化成

<1階/親世帯>
■コミュニケーションの取りやすい「共用玄関」
共用玄関と親世帯のLDKが隣接しているため、子世帯ご夫妻やお孫さんたちが出入りする時に声がかけやすいのがポイント。帰宅時にちょっと寄って、おしゃべりを楽しめる様な、ほど良いコミュニケーションが保てます。 ■多目的に使える「和室」
そして、玄関から直接出入りできる1階和室は、日常的にも来客時にもと、多目的に有効に使えるパブリックスペースとなります。位置的には、北側の部屋となりますが、リビングと連続しているため、明るく広く使えるのも、良く考えられている点です。 ■静かで落ち着ける「寝室」
一方、プライベートゾーンである寝室(LDK横の洋室)は、LDKや多目的に使われる和室と分離されているため、とても落ち着ける空間となっています。このゾーニングにより子世帯の音がほとんど気にならないと言う効果も得られ、快適な寝室となります。 ■使いやすい動線の「水回り」
さらに、親世帯の浴室・洗面・トイレも、プライベートゾーンとして奥に配置されているので、接客時なども気兼ねなく過ごせます。トイレもLDKや寝室から近い場所にあるため、夜間に利用する事がだんだん増える高齢者にとっては非常に便利でしょう。プランニングにとって、ゾーニングはとても重要なポイントです。両世帯の生活動線を考え、最適なゾーニングをすることが、よりよい二世帯住宅への鍵と言えるでしょう。

二世帯住宅ならではの「配慮」いろいろ


次に子世帯のプランを見ていきましょう。子世帯はオープンなプランで、仕切りが少なく吹抜けを利用して、家族の気配を感じられる工夫がされています。2階には、子世帯のLDK・夫婦の寝室・水回りの他、防音室があり、3階は子ども室と書庫や収納などのフリースペースとなっています。
2・3階平面図・旭化成

<2・3階/子世帯>
■スムーズな子世帯への動線「階段」
共用玄関から直接1~2階へ、そして2~3階への階段もすぐ近くにあります。朝、家を出る時間が早い子世帯ご夫婦の代わりに、親世帯お父様が、お子さんを起こしに行くことがあるとか。そんな時にも、子世帯の空間を最小限に通過するのみ。こんな配慮も、共働きで忙しい子世帯奥様にとっては、ちょっと嬉しいですね。 ■思い切り音楽を楽しめる「防音室」
2階の防音室は、子世帯ご主人とお子さん達が、楽器を楽しむ部屋となっています。防音室にしたことで、ご近所へはもちろんですが、親世帯にも気兼ねせず、趣味の音楽演奏を楽しむことが可能になっています。このように、二世帯で暮らすには、音の配慮も気にしたいものです。 ■室内干しもできる「3階通路スペース」
3階のフリースペース通路は、雨天時の物干し場としても活用できます。共働きの子世帯にとって、日中の洗濯物干しスペースは重視されるところ。一緒に暮らしているからと言って親世帯に頼らず、室内に物干しスペースを用意するのは、良いアイデアです。 ■音が聞こえない工夫「トイレ」
子世帯のようなオープンなプランは、生活音が聞こえやすいという特徴があります。そこでトイレは、洗面所の中から出入りするプランとし、リビングとの間をドア2枚で設けることで、うまく音の問題を解消しています。これで、来客時も安心です。 ■子世帯へ直接入れる「勝手口」
キッチン横には、子世帯に直接出入りできる外階段を設置。普段は1階の共用玄関を利用していても、ゴミ出しや、買い物の荷物が多い時などには、やはり便利です。玄関が共用の場合は、このようなサブの出入り口を、ぜひ検討して下さい。

お客さまの思いが形になった「収納」


最後に、「収納」に注目して下さい。こちらの実例プランには、実に38ヶ所もの収納スペースを確保しています。無駄なところはほとんど無く、使いやすい収納が実現されています。子世帯・奥様は、設計段階で収納するものを決め、無駄がでないサイズで設計をお願いしたそうです。
旭化成・実例

子世帯リビングの床上げ和室。床下に収納を取ることで、リビングの収納の充実をはかりました。
例えば、家族が集まりいろいろなことが行われるリビングこそ、収納の充実が望まれます。子世帯リビングの西側に設けられた「床上げ和室」は、床下に収納を取りつつ、家事や寛ぎ・奥様の仕事にと、いろいろな場面に使える魅力的なスペースとなっています。このように、収納とスペースを兼用するアイディアも、参考にしたい事例です。収納は、集中収納と分散収納をうまく組み合わせて使いこなすのがベスト。各室に設置された収納は使いたいときにすぐに取り出せ、使い終わったら元の位置にすぐ戻せるという効果が絶大です。また集中収納は、大きな物や季節の物をしまっておくのに便利です。ふたつの収納方法をうまく組み合わせると、すっきりとした部屋が維持できるのです。収納は、住空間を快適にしてくれる鍵。二世帯住宅に限らず、しっかり計画したいものですね。

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