本来のエリック・クラプトンとは?

バンドサウンドに乗せたクラプトンのへヴィなギターを堪能できる『バックホーム』。05年発表エリック・クラプトンといえば、往年のファンには「スローハンド」のニックネームでおなじみだろう。超絶テクニックを駆使した速弾きは、あたかも手がゆっくりと動いているかのように見えるためにこう呼ばれたと言われている。しかし80~90年代のクラプトンは、ボーカルの味わいに重きを置いたナンバーが数多くヒットしたために、すっかり渋いバラードシンガーといったイメージが浸透してしまっていたようだ。クラプトンのギターをもっと聴きたい、昔を知るファンならそんな風に思っていたに違いない。
しかしうれしいことに、このところ「ギタリスト」クラプトンは復活しつつあるようだ。01年発表のアルバム『レプタイル』では久々にブルースギターを弾きまくっていたし、05年夏の『バック・ホーム』も、ギターを前に出したバンドサウンドが楽しめるロックアルバムになっていた。スタジオでジャム・セッションを繰り返しながら、バンドスタイルで練り上げたような曲がずらりと並んでいて、とてもヘヴィなギターソロも堪能できる作品に仕上がっていた。
「ギタリスト」クラプトンの復活

クラプトンの渋いブルースギター満載の『ザ・ロード・トゥ・エスコンディード』。06年発表そして、昨年秋に発表されたのが『ザ・ロード・トゥ・エスコンディード』。J.J.ケイルとのコラボレーションから生まれたアルバムだ。ちなみにJ.J.ケイルは、クラプトンが以前カヴァーした『コカイン』の作者として有名なアーティストだ。このアルバムには、カントリーのフレーバーをちりばめた、味わいのあるブルースナンバーが集められていて、クラプトンは本領発揮とも言える渋いブルースギターをたっぷり聴かせてくれている。ギタリストとしてのクラプトンが復活してきた証とも言えるアルバムなのだ。
昨年の来日公演でも、2人のギタリストをしたがえて登場し、60~70年代の古いナンバーも数多く披露、日本のギターオヤジたちを喜ばせてくれたのは記憶に新しい。これからもクラプトンは、ギターを存分に弾いてくれるに違いない。
では、ジェフ・ベックを紹介します。
ギタリスト、ジェフ・ベックの変化

03年発表の『Jeff』。デジタルロック色が濃いが、60歳目前とは思えない激しいギターを聴くことができるギターキッズの永遠の憧れ、ジェフ・ベックも、クラプトンと同様に最近活躍の目立つ大御所の一人だろう。80年以降は活動のペースが落ち、すっかり「過去の人」扱いを受けることが多かったジェフ・ベックだが、99年以降はかなりのハイペースで新作をリリースしているのだ。
ただ、ここ数年のジェフ・ベックの作品は、往年の彼の作品とは少し趣が異なっている。99年の『フー・エルス!』ではテクノやディスコを取り入れ、2000年の『ユー・ハッド・イット・カミング』や03年の『ジェフ』では、プログラミングによるデジタルビートを中心として展開させている。言ってみれば「現代風」のワイルドなサウンドで、驚いたファンも多かったのが事実だ。彼の興味はテクノやダンスミュージックに行ってしまったのだろうか、もう昔のような「ベック節」は聴けないのだろうか、と心配したファンも大勢いたに違いない。
さらに凄みを増してきたジェフ・ベック
しかし、実際にライヴを観れば、そんな心配は吹っ飛んでしまうに違いない。たとえば05年の来日公演は『Wired』や『Blow By Blow』など往年の名盤からのナンバーが中心だったし、肝心の演奏も衰えていないどころか、さらに凄みを増していて観客は圧倒されっぱなしだったのだ。タッピングやハーモニクスなどのワザもビシビシ決めるし、音色や音程の微妙なコントロールは凄まじいばかり。そして何より、一つ一つの音が突き刺さるように迫ってくるのが素晴らしい。彼の持つ「伝える力」の凄さは、とても60歳を過ぎたギタリストのものとは思えない。新たな音楽を貪欲に取り入れてきたことで、ギターもさらに研ぎ澄まされてきたのかもしれない。歳を取ってもさらに進化し続けている、これがジェフ・ベックの本当の凄さなのだろう。
過去には「ギターよりクルマをいじっていたほうが楽しい」と発言し、スタジオではなくガレージにこもっているため寡作だとウワサされていたこともあるジェフ・ベックだが、どうやらこのところ彼の興味はクルマよりギターに向いているようだ。次にリリースされる作品にも、「ギター小僧ベック」を期待していてよさそうだ。
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