傾(かぶ)いてます! きくち正太『おせん』

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タイトル:『おせん(1)』
出版社:講談社
著者:きくち正太
価格:580円(税込)
ふろふき大根と水桶のエピソードが載っている第1巻スタートしたばかりのドラマ「おせん」。若き演技派、蒼井優が初めて連続ドラマで主演をつとめることでも話題になっている。ドラマとあわせて原作の魅力も味わってみよう。『おせん』は、講談社の雑誌「イブニング」で連載中のグルメ漫画。大学を卒業し、住み込みで修業を始めたばかりの江崎ヨシ夫(※原作では帳場係)の視点で、知る人ぞ知る老舗「一升庵」のスーパー女将・半田仙(おせん)の活躍を描く。食を中心に日本の伝統文化を再発見できる内容になっている。が、描き方はかなり自由。おせんの一人称は「わっち」、語尾は「でやんす」。現代日本人とは思えぬ、まるで歌舞伎の登場人物のような言葉遣いだ。衣装も和服なのだが、髪はザンバラで、眼鏡をかけている。いつも大酒飲んで酔っ払い、着物はしょっちゅうはだけているし、およそ老舗料亭の女将らしくない姿。人目につくような変わった身なりや行動をすることを「傾く(かぶく)」という。歌舞伎の由来になった言葉だ。おせんは世の常識を覆す「かぶき者」として創造されたキャラクターなのだろう。
おせんに学ぶ 本物とは何か?

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タイトル:『おせん(15)』
出版社:講談社
著者:きくち正太
価格:1,680円(税込)
現在15巻まで出版されている若くて美しいが天然ボケで、ふだんは女将の貫禄ゼロのおせん。ところが料理の腕は一流、もてなし方は大胆かつ細やかで、店の看板も器も自分で創る芸術家。ドラマの初回でもちょっとだけ出てきた、ふろふき大根(第3話「ささやかな思想」)と信楽の水桶(第5話「真贋の先にあるもの」)のエピソードを読むと、彼女のキャラクターが理解できる。なぜ和食では常識と思われている大根の面とりと煮干のワタとりをしないのか? なぜ200万円の水桶を野ざらしにするのか? 日本でも有数の目利きといわれる骨董屋・珍品堂の言葉が印象に残る。うらやましいぜ じっさい――
あそこまでモノにホレ込める
うぶな目がついてるってことがだモノの真贋や値段がなんぼわかったって
んなもなァ 目利きでもなんでもねえ
その先にあるんだ
モノがわかるってこたァよ……おせんは食材にも芸術品にも真っ直ぐに愛情を注ぎ込む。値段やブランドは関係ない。偽装や毒物混入など食品にまつわる悪いニュースが相次ぐ現在。何が本物なのか考えるきっかけになりそうな漫画だ。
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