初代女王の称号は誰の手に!?
優勝賞金は500万円!!! 女流棋士史上最高額のビッグトーナメント「マイナビ女子オープン」 これまで「」「」とレポートしてきましたが、大会はいよいよ大詰め。決勝戦が開始されています。

五番勝負の緒戦は伝説のにて
熾烈なトーナメントを勝ち抜いてきたのは、矢内理絵子女流名人と甲斐智美女流二段の両棋士。平成20年4月3日に行なわれた「決勝五番勝負」の第一戦目の潜入レポートです。
その表情は観音菩薩にも似て
決戦の場にまず現れたのは、矢内理絵子女流名人。少し遅れて甲斐智美女流二段が席に付きました。ピリリと場の空気が締まります。さして見学者とプレスの多さが、この試合の注目の高さを物語っています。

左が矢内理絵子女流名人、右が甲斐智美女流二段
印象的だったのは両棋士の試合直前の表情。集中力を高めるためでしょう、お二方とも瞳を閉じているのですが、双六屋個人の印象では、その表情に険しさはなく、どちらかというと観音菩薩を思わせる穏やかな表情にみえました。しかしこれはあくまでもこちらの勝手な思い込み。両棋士の心は「必勝」の熱い思いが煮えたぎっているに違いありません。刻満ちる。試合の幕開けです。
静謐に、そして厳かに駒が盤上に並べられていく。
振り駒により先手は甲斐女流二段

はじまりのはじまり。一手目が静かに指される。
数々の名勝負を生んだ伝説の地「陣屋旅館」
1万坪の敷地を擁する陣屋旅館は、これまで将棋・碁の幾多のタイトル戦、幾多の名勝負が繰り広げられてきた場所でもあります。館内のいたるところで、その歴史に触れることができます。

タイトル戦制覇者たちの色紙。圧巻!
中でも有名なのが「陣屋事件」 当時の木村義雄名人と王将戦七番勝負を戦っていたがが、六戦目の決戦の地となる旅館に出向き、玄関ベルをならしたが、迎えに誰も出てこなかったのという理由で帰ってしまい、そのまま不戦敗となってしまった事件。

館内には升田幸三先生の肖像画も升田八段の不可解な行動の真意は不明。いまもって語り草になっている将棋界最大のミステリーのひとつですが、「陣屋事件」という名前からわかるように、まさにこの陣屋旅館が事件の現場でした。
このあたりに升田八段はたたずんでいたのだろうか……

事件以後玄関ベルは外され、かわりに陣太鼓が置かれるようになったという。
え?トトロって陣屋旅館出身なんですか!?
この他にもこの旅館にまつわるこんなエピソードが。陣屋旅館の前女将は、あの宮崎駿と親戚で、小さいころいっしょにこの旅館の庭で遊んだそうです。「となりのトトロ」の着想はこの旅館で練ったともいわれ、庭にはこんなものまで!
さらに、館内に飾られていた佩刀は、なんとあの宮本武蔵が吉岡一門との対決で使用したものだという!

武蔵の、しかもあの吉岡一門と対決した刀って・・・ お宝すぎ!う~ん、いろんな意味で伝説だ。
ファンの期待を裏切らない大熱戦
今回の対局では、館内の大広間が大盤解説の会場に。熱心なファンの来場によって席はほぼ満員。そしてそれに応えるかのように対局自体も、両棋士が3時間の持ち時間を使いきる大熱戦でした。
席から溢れ、立ち見や直座りのファンも

大盤解説は瀬川晶司四段と鈴木環那女流初段
緒戦は矢内女流名人軍配!
もつれにもつれた終盤を制したのは、結局、矢内女流名人でした。
勝負を終え、硬かった矢内女流名人(写真奥)の表情にようやく微笑が

対局を終えたばかりの棋士がすぐに会場にかけつける双六屋にとって、将棋のタイトル戦の決勝観戦というのは初めて体験でした。その感想は、しっかりとした運営母体と練られたオペレーション、ファンのツボを押さえた大盤解説。そして今回は伝説の旅館での開催であり、コレに加えて対局自体も大熱戦。どれをとっても舌を巻くほどのハイレベルであり、この場に立ち会えたことが本当にラッキーでした。

対局が終わり、旅館を出るととっぷりと日が暮れていました第一戦目は矢内女流名人の勝利でしたが、続く第二戦は甲斐女流二段が勝利。現時点(平成20年4月24日)で星は五分。4月30日には第三戦が行われ、この女流棋士最高峰の戦いは、いよいよ佳境を迎えます。早ければ5月に、もつれても6月には初代「女王」が誕生することになります。
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