PS3で楽しむハイビジョン

4月18日発売、市場価格は13万円前後
PS3はハイビジョンに対応したゲーム機である。
ゲーム機でありながら家電としての機能が豊富であり、デジカメ画像をハイビジョン画質で表示できたりと、その恩恵にあずかる局面は非常に多い。だが、こと動画となると…高画質なPVをダウンロードして楽しむ分には簡単だが、自分でハイビジョンの動画を撮影などというと途端に敷居が高く感じる。しかし最近、ハイビジョン対応のビデオカメラも増え、自分で撮影したハイビジョン映像を自宅で楽しむというソリューションも一般に浸透しつつある。今回はこの春に初登場したソニーのハンディカム、HDR-TG1(以後TG1)を紹介したい。実はこのハンディカム、PS3との相性が抜群なのだ。
HDR-TG1はとにかく小さい

デジカメと思えば大きい、ビデオカメラと思えば小さい…そんなサイズ
以前からハイビジョン対応のハンディカムは発売されていたが、サイズ的には非常に重量感のあるものが多かった。他社製のビデオカメラでも小型・軽量なものは画質の犠牲を余儀なくされ、消費者にとっても選択の難しいところではあった。筆者としては、そもそも去年までのソニーのビデオカメラはハイビジョン対応に置いてやや“小慣れていない”印象があった。しかしここにきてフルハイビジョン撮影が可能で内蔵HDDに長時間の映像を撮り溜めることが可能な「SR12」、内蔵メモリとDVD、メモリースティックに記録が可能な「UX20」など意欲的なモデルが登場し、最終的に筆者の心を射止めたのは世界最小最軽量をうたったTG1だった。TG1には8GBのメモリースティックPRO DUOが付属する。このメモリースティックに1920x1080の映像なら55分、1440x1080映像なら1時間55分~3時間まで撮影可能だ(両方ハイビジョン画質となる。詳細はここでは省かせていただく)。特筆すべきはその小ささ。重量にして300g、容積にして190ccという小ささはビデオカメラというより大きめのデジカメという雰囲気である。
このサイズで光学10倍ズーム、電子式手振れ補正、撮影中の写真撮影など、中身はしっかりとビデオカメラなのだ。しかしまぁ、当然ずっしりとした高機能モデルと比較すると犠牲にしている点もある。筆者としては動画撮影の常識が変わるくらいの衝撃を受けたモデルだが、「とにかく画質がよくないと」「長時間撮りためたい」と言ったユーザーであればコンセプトが合わない可能性がも高い。というわけで、利点欠点織り交ぜて紹介することにしよう。
照れないでイイ

初見の印象は「動く写真」。初体験の映像美にはただただ驚かされた。
今回訪れたのは三重県長島にある「なばなの里」というフラワーパーク。
要は綺麗なお花を撮りたかったわけである。
季節がらチューリップがたいへん豊富に植えられており、非常に目の保養になった。早速TG1の出番だが、何せ小さいのでカバンからヨイショ、と取り出す感覚じゃないのがいい。ズボンのポケットにも入るし、手に持っていてもそれほど苦労しない。後のポイントは形状。
しっかりとしたビデオカメラなどは構えても撮られてもちょっとした照れを感じてしまいがちだが、縦に握るTG1の形状はデジカメの撮影に近い感覚で、大仰しさがない。照れ屋さんの筆者にはありがたい。ここで早速注意点だが、TG1が採用している電子式手振れ補正は光学式の手振れ補正と比較すると大きな揺れに弱い。
脇をしめて落ち着いて撮影する分には効果を発揮するが、例えば歩きながらの撮影、ユラユラと撮影対象の定まらない撮影などでは補正が逆効果になるのか、特有の映像の乱れを感じる。ただでさえ小さいボディなのでブレやすい。しっかり固定して撮影したい。
設定しないでイイ

設定はほぼカメラ任せ。顔を認識すると□で囲むのが面白い!
個人的にはデジカメなどの撮影でも、カメラにまかせっきりで細かい設定などはしない(できない)筆者。
当然ビデオカメラでも設定はいじらない(いじれない)。その点このモデルは、撮影対象に人間の顔を認識すると、もっとも顔が綺麗に映るように勝手に調整してくれる。
何せ逆光でも調整してくれるので、こだわらないのであれば液晶を開いて撮影ボタンをポン、でOK。
これはストレスフリーである。手軽といえば、この液晶を開けばすぐに撮影可能な状態になるというのが非常に助かる。そして撮影を終えたら液晶を閉じると自動でスタンバイモードになり、次に開いたときには1秒間で撮影可能になる。…だが、TG1の場合バッテリーの消耗が気になる。
スタンバイモードは起動時の半分ほどの消費になるようだが、これが命取りになりかねない。スタンバイモードからの復帰1秒は魅力だが、TG1は電源OFFからでも4秒程度で撮影可能になる。ので筆者は液晶を閉じたらそのまま電源がOFFになるよう設定している。こうすると1時間くらいは難なく撮影できる。
筆者はスペアのバッテリーも購入したが、まだお世話になっていない。
写真を気軽に取れるのがイイ

テレマクロで撮影。高山のとある喫茶店にて。
TG1には動画モードと写真モードがある。
写真が撮りたければ写真モードに切り替えて写すわけだが、実際には動画モードで普通に写真撮影が出来てしまう。その場合は動画モードで設定したアスペクト比での撮影となる。
写真モードでは別途画質・アスペクト比を設定できる。動画は16:9で、写真は4:3で撮影したいという場合は切り替えるといいだろう。
だが、動画モードのままで気軽に撮影、というのがTG1の撮影スタイルに合うと思う。動画撮影中でなければフラッシュも有効に出来る。
また動画撮影中でも写真撮影は可能だが、1枚撮ると3秒間、次の写真撮影が出来なくなる。実機で動画から静止画を切り取る機能もあるし、撮影中の操作は手振れの原因にもなり得るので避けたほうがいいかもしれない。が、個人的には割と活用してしまう楽しい機能ではある。
簡単に観れるのがイイ

ずらりと並んだサムネイルがウニウニ動く様は必見である
さて、ここからPS3の登場である。ソニーのハンディカムにはPicture Motion Browserというソフトが付属し、パソコンに取り込んだり閲覧したりと大活躍だ。
撮影データをカレンダーにして閲覧、地図情報を付加してグーグルマップの航空写真の上に配置など、これだけでも非常に遊べてしまう。が、今回はさらに手軽に、TG1をそのままPS3に接続してしまおう。TG1に付属するUSBケーブルでPS3と接続してTG1の画面で「USB接続」を選択すると、PS3のXMBのビデオにUSB機器が表示される。この中のAVCHDを選んでみると…なんとそれだけで、撮影した映像が表示される。
メモリーカードスロットの付いたPS3なら、メモリースティックをそのまま挿入してもいい。こんな手軽なことはない。なお、「USB機器」を選択して△ボタンを押し、「すべての情報」を選ぶとTG1の内容がフォルダで見ることができる。
その中の「AVCHD」「BDMV」「STREAM」には映像データが個別に保存されており、これを選択することで動画ファイルを一つずつ観ることも可能だ。
そのままPS3本体のHDDにコピーしてしまうことも出来る。それなりに容量は食うが、HDD内にコピーすると同時に15秒のサムネイル用動画が生成される。
XMBの動くサムネイルはちょっとした驚きだ。つい人に見せてみたくなる。視聴してみると、DVDカムなどと比較して圧倒的に精細感のある映像に驚かされる。自分の手で撮影したというのが信じられないほどだ。
TG1の苦手分野として光の足りないところ、夕暮れや部屋の中などではノイズが乗りやすい。だが屋外や明るい部屋の中では打って変わって鮮やかな映像を楽しむことが出来た。また、5.1chの音声に対応している点も特筆しておきたい。対応した音響システムで再生すると、撮影者の声が後ろ、被写体の声が前から聞こえてくる。他のさまざまな環境音に取り囲まれるのはなんとも言いがたい臨場感だ。TG1の製品コンセプトは「ハイビジョンスナップ」。
手軽に日常の風景を切り取るツールとして、これほど適したものはない。
その他の雑感

Picture Motion BrowserでDVDを作成した。PS3だけでなく、AVCHD対応機器であれば再生可能である。
このほか、一度PCに取り込んだ映像もDVDにAVCHDとして書き出せば、そのままPS3で再生できる。付属のソフトを使えばメニュー画面まで作成可能だ。ハイビジョンにこだわらないのであればSD画質(DVD程度)での撮影も出来る。こちらのほうが編集などの敷居も低い。音声も2chで保存できる。
また、同じハイビジョン画質でも1920x1080のハイビジョン画質を最高画質として、1440x1080でも3段階の画質が用意されている。あくまでも個人的な感覚だが、1920x1080だと手振れ補正の効きが弱いような気がした。撮影時間とのトレードオフでもあるが、1440x1080のHQモードがもっともバランスが良いように思う。それぞれの環境に合わせて使い方を変えていける懐の広さを持ったモデルだと言えよう。
ただ、やはりサイズとの兼ね合いで切り捨てられた部分も少なくはない。光学式の手振れ補正ではないということで撮影には少々注意が必要だし、レンズの広角側が弱い(狭い)のも欠点だ。ワイコンも装着不可、アクセサリシューを取り付ける場所もない。大容量バッテリーも用意されていない。従来モデルに搭載されていた「ナイトショット」などの暗部の撮影に有利なモードも搭載されていない。
そもそもPS3などの再生環境がないと再生には苦労するだろう。
何せAVCHDというファイルはかなりの能力を要求するので、よほど性能の良いPCでないと滑らかな再生が出来ない。とはいえ(AVCHD云々は置いておいて)その辺を要求するユーザーはおそらく本機の想定ユーザではない。
ズッシリと機能の充実した上位機種を検討されるが良かろう。
TG1 + PS3 = 思い出のハイビジョン化

旅行帰りに早速上映会、というのも楽しいものだ。
トータルとして、TG1は「より高画質な映像」を求めないのであれば十分期待にこたえてくれる。何より、ハイビジョン撮影が出来るビデオカメラがポケットに入るという意義は非常に大きい。
ビデオカメラというと子供の卒業式、運動会などを想定される人は多いだろう。確かに、ほとんどの人にとってビデオカメラが活躍するシーンは年に何度もあるまい。しかし、筆者にとって旅の思い出、日常の何気ないひとコマなどを切り取っておくというのは新鮮で充実した楽しみ方だった。
思うに、写真撮影というのは「はい、じゃ写真撮るよ!集まって!」という感じで時間を寸断してしまう感じがする。そうやって撮影した写真も大事だとは思うのだが、動画の場合、その楽しかった思い出ごと切り取って保存してくれる感じがするのである。もう少し早くこんなコンセプトのビデオカメラを購入していたら…あの思い出もこの思い出も残せたのに、そう思うと少しばかり残念な気持ちになってしまった。
もし近くに旅行やイベントが控えていて、ビデオカメラの購入で悩んでいる人がいたら早く購入されたほうがいいかも知れない。残しそびれた思い出は記録しなおせないのだから。HDR-TG1 | 商品情報 | デジタルビデオカメラ Handycam “ハンディカム” | ソニー
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