誕生と同時に大ブレイクしたニコニコ動画
今年最も、ゲーム業界に変革の波をもたらしたものはなんでしょうか。Wiiでしょうか? モバゲータウンでしょうか? 私はあえて、Web上における動画投稿配信サービスであるニコニコ動画を挙げたいと思います。このサービスは、2006年12月12日に
ニコニコ動画(仮)としてスタートしました。以来、1年を待たず、2007年9月27日時点で会員
300万人を突破。現在ではニコニコ動画(RC2)という名前でサービスが継続され、投稿動画数
約55万、動画再生数は
25億以上という凄まじい数字をたたき出しています。しかも、サーバー増強が追いつかない為に、後から会員になった一部の人は混雑する時間にはアクセスできないなど、会員に順番待ちができている状態だと言うから驚きです。
思い出は億千万 ユーザーに掘り起こされるゲームコンテンツ

このように、サビなどにあわせて、画面中が文字で覆われることを、弾幕、と言います。これも、ニコニコ動画特有の文化ですねニコニコ動画で今年大きなブームになった歌があります。それが、
思い出は億千万という曲。これは、1988年にカプコンから発売されているファミコン用ソフト、ロックマン2 Dr.ワイリーの謎の中で使われているBGMに歌詞をつけたものです。
誰が歌詞をつけたかは分かっていませんが、今聞いても子供の頃の興奮が蘇るその音楽と、郷愁をそそる歌詞、これがニコニコ動画に投稿されると大ムーブメントを起こし、歌を謡ってみる人、アニメーションをつけてみる人、楽器で演奏する人など、そこから実に様々な発想で次々に動画が生み出されていきました。その中でも人気のあるものはなんと
190万回以上もくりかえし再生され、楽しまれているというのですから、これは大変な騒ぎです。
今から19年も前に発売されたゲームの、BGMのひとつ、これが掘り起こされ、その素晴らしさが再確認されると共に、新しい付加価値がユーザーの手によってつけられていく。それも大量にです。今までにはありえない現象ではないでしょうか。
アイドルマスターの快挙

MADと呼ばれる、色々な映像や音声素材を組み合わせて再編集して、新たな動画を作る手法があります。アイドルマスター関連動画では、非常に高い編集技術で様々なMAD動画が作られましたニコニコ動画におけるゲーム関連動画の中で、人気のあるものの中に、バンダイナムコゲームスからXbox360用に発売されたアイドルマスターというゲームの動画があります。このゲームはアイドルを育成するゲームなのですが、アイドルマスターというキーワードでニコニコ動画内を検索すると、
1万以上もの動画が出てきます。
アイドルマスターの販売数は
4万5千本程度なので、1万もの動画が投稿されているというのはかなりとんでもない数字でしょう。また、アイドルマスターは、Xbox360のダウンロードコンテンツという仕組みを使って、有料でステージ衣装などをダウンロードできるのですが、このダウンロードアイテム数が、なんと全世界で発売されているXbox360のソフトのなかで
第3位を記録しています。
Xbox360本体は全世界で1000万台以上の出荷、日本での販売数はそのうちたったの
50万弱。アイドルマスターは、日本でしか販売されていません。それが、全世界で発売されているXbox360における数々のソフトを抜いて第3位のダウンロード数なのですから、これはもう快挙ですね。
ニコニコ動画で盛り上がったから、その為にたくさん衣装などがダウンロードされてこの結果が出ている、と言い切るには根拠に乏しいのですが、全く関係ないとも言えません。少なくとも、新しい衣装を買って、それをみんなにお披露目して一緒に盛り上がる場所をニコニコ動画は提供したことは確かです。
ニコニコ動画というサービスと、ユーザーの熱が、ゲームの新しい楽しみ方をどんどん生み出していきます。最後に、、考えてみたいと思います。
億千万の勇気を貰った子供たちが、これからのゲームを変える

スマッシュブラザーズXのオンラインのテーマは共有。ユーザーが自らステージなどを作り、それをみんなで共有できる仕組みなどがあります今回ご紹介した以外にも、実に様々なゲーム関連の動画がニコニコ動画には投稿されています。例えば、地球防衛軍3というXbox360で発売されているコアユーザー向けのソフトを自分のおじいちゃんにやってもらったという動画、あるひきこもりの青年がドラゴンクエスト3の主人公のかわりに冒険をするという設定で綴られる動画など、思いもよらない発想で作られた動画が続々と投稿されています。
しかし、一方で問題もあります。ゲームの画面、音楽などには全て著作権が発生します。ニコニコ動画を運営するニワンゴは、2007年10月から、日本音楽著作権協会(JASRAC)と、運営サイトで使われる音楽の利用料に関する契約についての協議に入っています。著作権に関する問題はニコニコ動画だけでなく、多くの動画サイトが抱える共通の問題です。
ゲームの動画に限った場合、勝手に動画が使われて、著作者の利益が失われていると考えるか、ユーザーが盛り上がることは、業界が盛り上がることだと考えるかで大きく異なるでしょう。私の考えでは、ケースバイケースであり、簡単にいかない問題ではあるものの、ゲームのような本質がプレイ体験にあるものであれば、基本的にはコストをかけてユーザーの盛り上がりに水をさすよりは、黙認、場合によっては積極的に応援していく方が建設的ではないかと思っています。
ユーザーコミュニティをどうやって作っていくか。ゲーム体験をどうやって共有してもらうかということは、オンラインが発達して様々なコミュニケーションの形を実現できるこれからの時代のゲームのキーワードにもなって行くはずです。Xbox360のHalo3や、Wiiで発売される大乱闘スマッシュブラザーズXなどは、ゲーム体験をオンラインを通じてユーザーに共有してもらう為に、工夫を重ねています。
ニコニコ動画は現時点におけるその1番の成功例と言えるのではないでしょうか。こういったユーザーコミュニティが大きく形成されていけば、ゲーム業界はユーザーと一体になって更なる文化を産み出し、発展を遂げることができるかもしれません。
前項でご紹介した、思い出は億千万のサビに、「君がくれた勇気は億千万」という歌詞があります。「君」が具体的に誰を示すのかは歌詞中には出てきません。それは、曲の元になっているロックマンのような、ゲーム達のことを指すような気もします。実はガイドはこの曲を聴いて、子供の頃、本当にたくさんの勇気をくれた数々のゲームを思い出して、涙がこぼれてしまいました。ゲームが子供達に与えた億千万の勇気は、時間を経て、今度はゲームに力を与えてくれるのかもしれません。
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